BioL

搬送時必要項目

搬送容器

密封

ウイルス、細菌、異物の混入は免疫系を有さない細胞や組織にとって致命的になります。無菌性保証と異物の混入防止目的はもちろんですが、内容物の拡散を防ぐ(世界保健機関のガイダンス)という観点からも半閉鎖式の容器は推奨できず、密封は必須な条件になります。

温度管理

温度管理の考え方は細胞、組織を休眠状態で凍結搬送するか、代謝活性を保ったままで搬送するかで異なります。凍結した場合の至適温度、代謝活性を保った場合の至適温度はそれぞれの細胞、組織で異なることから、検討が必要です。特に代謝活性を保つ場合には保存液との兼ね合いで代謝活性をコントロールする必要があります。

衝撃対応

主には凍結搬送よりも代謝活性を保つ場合に必要ですが、凍結容器の破損を防ぐためにも衝撃対応は必要です。培養皿に付着させた細胞を搬送する時、基質を産生させた組織を搬送する際には、それらの細胞組織の破損を防ぐための衝撃、振動対応をする必要があります。

定ガス濃度維持

細胞や組織を代謝活性を保ったままで搬送する際には、それらは細胞呼吸をしますので、保存液のPHが変化します。そこで酸素、二酸化炭素のガス濃度を維持する機構が必要になりますが、搬送時間や搬送素材に応じて検討する必要があります。

これらの条件を一つの容器に持たせることは困難です。また防漏の観点からも基本三重構造といういくつかの搬送容器(一次容器、二次容器、外装容器)を組み合わせた構造で搬送容器は作成されます。

搬送システム

モニタリング

搬送が安全に行われたか、指定条件で搬送されていたか、トレーサビリティの観点からもモニタリングシステムは必要です。データの解析、開示の方法はそれぞれでありますが、荷送人、荷受人、運送人で事前検討が必要になります。

セキュリティ

搬送中には予想外の出来事が発生する可能性もあります。盗難防止だけでなく、内容物への異物混入や防漏の観点からもセキュリティを備えておく必要があります。

取違い防止

再生医療においては患者さん個人にあわせたテーラーメードで細胞や組織を調製することがあります。この際に調製された細胞、組織を取り違えてしまう事は致命的になります。このため取違い防止機構は必須なものとして備える必要があります。

搬送員教育

通常の搬送と異なり、再生医療における搬送は「生きている」組織や細胞を運ぶという事です。このことから搬送員は生物学的な知識や搬送知識を十分に知っておかねばなりません。

ガイドライン

再生医療の搬送については以下のガイドラインが参考になります。

「細胞・組織加工品の研究・開発におけるヒト細胞・組織の搬送に関するガイドライン2012」
http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/service/iryou_fukushi/downloadfiles/201303-1.pdf

「感染性物質の輸送規則に関するガイダンス2013-2014版 世界保健機関」
http://www.niid.go.jp/niid/images/biosafe/who/WHOguidance_transport13-14.pdf

「再生医療等に用いられる細胞加工物の輸送上の留意点に関するFIRMガイド」
https://firm.or.jp/archives/3927